見損じてはならない背中・腰の痛みを発症する病気。
急性の圧迫症状を伴う骨疾患や骨髄AVM破裂が要因のクモ膜下出血、膿胸、感染性の心内膜炎、胆のうの炎症、総胆管の結石、急性のすい臓炎、腎盂腎炎(じんうじんえん)、大動脈解離(だいどうみゃくかいり)、腹部大動脈瘤、腎梗塞、急性の溶血反応などが考えられます。
整形外科疾病の中で見誤ってはいけないのは脊髄圧迫を伴うものであります。
脊髄圧迫は膀胱直腸障害で見わけると良いといわれています。
しびれくらいでは根症状の可能性が高い。
麻痺の見られる時だと腰の疼痛が主訴にならない。
緊急手術となるのは脊髄圧迫で生じた脊髄の損傷または馬尾症候群、腹部大動脈破裂(ふくぶだいどうみゃくはれつ)と急性大動脈破裂である。
通常では腰背部痛では内科的な疾患を見のがさないためにすれば良い。
外科的な疾患ならば過去の既往歴(急性・慢性)や稼動域の制限(制限が無い場合でも痛みが変化するのかなど)、骨打診痛、ラセーグ徴候、X線画像検査などをみれば決定診断ができることがたくさんある。
さらに、整形外科的病態なら発熱、寒気などは基本ない。
No.51
緊急性はなくても注意すべき病気
癌の骨転移や腸腰筋の膿瘍、椎間板の損傷、脊椎圧迫骨折、脊柱管の狭窄、があげられます。
上下の椎骨がぶつかり、神経根を咬んで強い振動痛や夜間の痛みが出る椎間孔狭窄症もこのところ注目されています。
No.52
神経学的診察
背骨、脊髄の疾患が推察されたときは神経学的検査の経験を用いて解剖学的診断やレントゲン・MRIを実施する必要があります。
下半身への放散痛があるケースでは、ヘルニアの可能性がでてくる。
椎間板病変は90パーセントていどが腰椎4番・腰椎5番椎間板か腰椎5番・仙骨1番椎間板に出ると言う。
脊髄の解剖的な特徴から腰椎4番・腰椎5番椎間板の障害原因であればL5のみの異常かL5とS1の症状が予想され、L5/S1椎間板の異常S1だけの障害となります。
障害された神経根を探し出すには知覚(ちかく)、筋力(きんりょく)、反射(はんしゃ)などを調べるべきであります。
No.53
反射
膝蓋腱反射:L4神経根が関連している。
これが低下すれば腰椎4番障害などを考える。
アキレス腱反射、S1神経根が主に関係している。
この神経が機能の低下を起こせば仙骨1番神経障害などを可能性を考慮する。
No.54
知覚
L4。
脛骨稜(スネ)の内側。
腰椎5番。
脛骨(すね)の外側。
第1指と第2指の間。
仙骨1番:足のうら、外くるぶしの下。
No.55
筋力
腰椎4番、足首の関節の内反と背屈。
腰椎5番、足の指の背屈。
仙骨1番、足関節の外反と底屈、足趾底屈。
前述のような神経学的テストによって解剖学的判断を行うことができるようになります。
さらに定性的な検査としては根症状をみる誘発テストなどもある。
特に使えるのがラセーグ徴候(SLRテスト)と呼ばれるもので仰向けで寝て膝関節を伸ばした状態で脚を挙上する。
お尻~膝の下に痛みを発現したらL5,仙骨1番の根症状を持っている証拠になります。
上げた脚の反対側が痛みが出る事がありクロスSLRと言う。
FNS診断といわれるものもあり腹ばいの姿位で膝関節を屈曲し下肢をもち上げるテスト方法。
L3,L4の神経根が圧迫されていると大腿前面に症状が出て来る。
No.56
鑑別診断
下肢放散痛を認める場合では椎間板異常ではないそれ以外の疾患を念頭に置く必要性があります。
仮定する箇所は股関節・骨盤があります。
股関節の疾病のときは股関節ががいせんこうしゅく状況おおく、仰臥位で内旋障害が出るケースがたいはん。
骨盤の疾患、とくに仙腸骨関節をテストするにはニュートン・テストが効果的です。
このテスト法は仰向けで腸骨を左右の後ろへ圧迫し、恥骨を後方へ圧迫する、さらにうつ伏せで仙骨を押す検査方法です。
痛みが異常ありで仙骨病変が想定できる。
No.57
治療
レントゲン・MRIで確定診断がついたケースは外科手術の適応画像診断考えられるが、急性腰痛症だけの判断のときは以下のような方法などが考慮される。
基本的には筋繊維を鍛えて、痛くならないようにする以外対処法が無く、腰のサポートをすることのほかににできることはない。
動かないようにしていれば体の備える治癒力で3週間ほど-12週以内に自然治癒するケースがたいはんである。
だがしかし、体を使わないようになることができず回復しないうちに職務を再開したことで再度傷めてそれから慢性的な状態にしてしまう事例も珍しくない。
手術が必須なのは重症の椎間板病変(下肢の感覚の麻痺や運動麻痺のひどいもの)や悪性腫瘍がある時です。
激しい疼痛の「急性腰痛症」であるがために、治療方法・施術法は安静にして経過をみるか、安静、湿布、鎮痛剤(パラセタモール、非ステロイド性抗炎症薬)ほどで消極的なものが一般的です。